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バレンタインデー。
聖なる日なのだけど、妄想オトコには関係ない。
いつもの電車待ちの行列。
今日、あおいちゃんはいない。
やっぱ、JKのチョコの相手は同級生とかかな。
数分後、彼女は走ってやってきた。
そして、ボクの横に並んだ。
並ぼうとしていた他の客がいたんだけど、なんとなくだけどその人よりもわたしが先に並ぶの!という表情をしながら、ボクの隣を捕った感じ。
いくら妄想とはいえ、彼女からチョコなんてもらえないことはわかってる。
でも、彼女が隣に並んでくれただけで、ボクには大きなプレゼントになる。
ありがとう、あおいちゃん。
ボクの手に、何かが触れた感じがした。
その手の方、あおいちゃんの方を見ると、あおいちゃん、ボクを恥ずかしそうに見てる。
で、手に視線を戻すと、彼女が何かをボクの手に持たせようとしてる。
「す、すいません」
リボンのついた小箱。
彼女は、唇に指を立て「シーッ」というジェスチャー。
静かに受け取れ、と?
ドキドキ、ドキドキ。
まさか、マヂ?
カバンからチョコ出したら、リボンが崩れてて、慌てて直す。
あ、ちょっと遅れる。
お兄さんの隣に並べないかも。
急がなきゃ。
彼にチョコ渡すの、電車待ってるときしかないから。
間に合った。彼の隣。
他のお客さんいるけど、いいや。
横入りじゃないから、大丈夫。
昨日、あんだけドキドキしながらこの時間のこと想像してたけど、急いで走ってきたから、息が切れそうでそれどころじゃない。
この勢いで渡しちゃえ。
目を合わせるでもなく、でもなんとなくお互いを意識しながら電車に乗り込み、さりげなく隣に並んで立つ。
会話をしたいけど、できない。
顔がにやけてしまう。
なんだ、あおいちゃんもニコニコ。
降りるべき駅を忘れちゃいそうになりながら、会社へ。
トイレで小箱を開ける。
なんかのIDが書いてあるぞ。
LINEかな。
過去の2作はこちら。
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